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★★過密配筋★★ [BUILD-ADVISER ]

 

先日朝 NHKで『過密配筋』を特集していた。

 

■過密配筋

   コンクリートには鉄筋や鉄骨が入っている。鉄筋は引っ張りに強く

   コンクリートは圧縮に強い特性をいかして、コンクリート造は成り立っている。

   鉄筋同士は近すぎても、離れすぎていても効力を発揮しない為

   鉄筋配筋指針が国で決められている。この指針に則らず、鉄筋

   同士が近くに密着している配筋が過密配筋である。

 

■問題点はここではまだ出ない

   

   まず設計業務の手順を述べよう

      1.基本設計(意匠設計)

      2.構造設計

      3.設備設計

   現場が始まる前にこの3者は、ヤリトリを行う。

   現場を造るための打合せ。

   

   意匠設計が書いた図面を元に、構造設計者が構造計算を

   行い、柱断面や梁断面を決めて、設備が配管を通す位置を

   確定して、設計図を作り上げて行く。

 

   ではなぜこの様な問題が起こるのか???

 

 

■問題はここからです。

   ここに事業主の思惑が介在する。。。

   1.階高さを縮めて あと1フロアーを増やしたい

   2.部屋の面積を多く見せたいから柱を小さくしたい

   3.かっこ悪いから柱を別の位置にして欲しい    などなど

 

   別にゆとり設計をしてる訳じゃない所にきて

   無理難題を言う。

   すべて事業という名の下に、利益を追求する為に

 

   構造設計者は悩みます。施工誤差を考えないギリギリの設計を。。

   でもね。

   現場は人間が造るんです。誤差は出るんです。

 

   その結果が『過密配筋』となって品質の悪い建物になります

  

■NHKや政府の見解

   『過密配筋にならないように施工会社に管理徹底を呼びかける』

   『設計指針の見直しを行う』

   はぁ???馬鹿じゃないのー   って思いません?

 

   問題は『利益中心の事業主の考え』+『不当に安く家を持ちたい人』

   じゃないのかなー?

   家は欲しいよ。誰だって!!

   でも身の丈ってあるじゃない?背伸びしてるんじゃないの?   

   

■私がとった行動

   『設計図・施工図そのまま工事するな』

   これは私の師匠の言葉です。

   人が書く事だ。間違いもあるし手間が掛かることもある。。

  

   私は時間を割いて

   全ての配筋図を施工前に書きました。

   施工した時に適正な鉄筋間隔が取れるかどうか?

   もし取れないなら、予め構造担当者と相談です。

   本数を減らす事は可能か?位置はずらせないか?

 

   でも多くの現場監督は

   CADも使えず、そんな時間も作れずにいるんです。

   でも一番大事な事なんですけどね。

   これを見てる監督さんは是非やって欲しいかな。

 

   安全第一  は 現場も御客様も優先順位1位であるべきなので。  


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コメント 10

chocotan

あんまり明かしてないけど、実は元は構造屋さんのタマゴ。
意匠に合わせて構造設計しますよね。もう少しこの柱をずらして
くれたら、力の流れがよくなるのになぁって思っても、言っちゃダメみたいでした。ちょっと違うかもしれないけど、「人の図面は疑ってかかれ。」
と1年生の時によく言われました。「上司や先輩を疑うなんて・・。」って
思いましたが、その教えがあるから今に繋がってると思います。

長々と失礼しました~。
by chocotan (2006-05-26 23:03) 

macoto

>ちょこたん様
    私は建築学科でてますが
    構造は超苦手
    いまでも同期の構造設計を
    頼りにしています。
    なので、スゴイと思います。
by macoto (2006-05-26 23:28) 

浜松自宅カフェ

現場での変更やチェックが最小限で住む設計をしたいものです!
上流側のツケは、下流側に大きなツケとなって回ってきますよね?
強いては、買主への負担(負の資産)となっちゃいますから。
by 浜松自宅カフェ (2006-05-27 11:12) 

macoto

>浜松自宅カフェ様
    営業も『負の遺産』を背負わせた
    顧客の顔。よく直視できますよね。
    怖いわー
by macoto (2006-05-27 11:18) 

hasegawa

私の授業では、全ての問題の根源は容積率の緩和だ!と教えています。
①容積率を緩和すると、土地が高価になりリスクが増える=経済性優先=工期短縮が競争になる=無理な工程管理。
②容積率を緩和すると、高層化が加速する=設計施工の技術や人材確保が追いつかない=性能不良がおきる。
③容積率を緩和すると、土地が投機対象になる=経済性優先=無理な設計。
こんなとこでしょうか。
このほかにも、高密度が可能=耐火性能が必要=都市の熱容量の拡大=ヒートアイランド。とか、同じく高密度が可能=プライバシーの低下=窓が開けられない=揮発性有害物質が充満=シックハウスとか・・。
昭和30年代後半から、以上に続いた土地神話を維持するために、国が打ってきた無謀ともいえる容積率緩和が、どれだけ健康な建築、健康な暮らしのマイナスになってきたことか・・・。
おかげで日本は世界有数の高容積率都市(西欧の約5倍)になりましたが、世界でも有数の不健康都市になりつつあります。
神奈川県の容積率を全部使い切ると、5000万人以上が住めるだけの床が確保できるって信じられますか?
by hasegawa (2006-05-28 00:25) 

macoto

>ハセチュー様
    さすが先生のコメント
    勉強になります。
    いろいろ教えてください。
    恐ろしい話ですね。
by macoto (2006-05-28 07:51) 

zeirishi

過密配筋 怖いです。
我が家は大丈夫なんでしょうか・・・・・
話がリアルでドキドキしながら読んでます。

私のブログはいつでもお越し下さい。プロの目も大歓迎です。
by zeirishi (2006-05-29 12:32) 

macoto

>yaginobu様
    有難うございます。寄させて頂きます。
    過密配筋は木造住宅ではなかなか
    起こりづらいです。木造住宅の注意点
    なんかもコメント出来ればいいと思います。
    ヨロシクです。
by macoto (2006-05-29 12:39) 

takeshi

こんにちは、
こっちは、過密配筋・・・・と言うほどの配筋は無いのですが、
納まらずにウンウン唸っています。
構造の「先生」なる人の答えが週を挟んで180度回転・・・・

鉄筋ってのはパズルみたいなものですよね。
太さと重さがあるものなのだから、絵にかいたようには納まらない。
だから、「無理ですよ」って言っているのに・・・

今度、その先生に「知恵の輪」を進呈しようか考え中です。
にしても、計算が得意なだけでなく、空間認知能力の高い
構造屋さんが増えてくれることを願います。

あ・・・それより、構造計算能力を備えた現場監督を増やすほうが効果的かも(自滅)
by takeshi (2006-05-29 13:01) 

macoto

>takeshi様
    お察しします。今回の事件で皆
    構造にはウルサイくなってきたので
    構造設計者も悩んでると思う。
    それ以上に現場は大変なんだけどねー
by macoto (2006-05-29 13:46) 

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